先日、京都の老舗旅館のドキュメンタリーをTVでみた。
歴史上の著名人がこよなく愛した宿である。日本人だけでなく海外の方々もだ。
(当然ながら、あいにく私は宿泊したことはない。)
さて、この宿だが、伝統を受け継ぎつつも、新しい風を感じる世界を創り上げている。
女将の言葉を聞いて感銘を受けたのは、季節毎の行事であるとか節目におこなうべき諸々のことをしっかりと行っていることである。毎年同じことを繰り返す。そしてそのような折り目正しい日々の心の持ちようがあって、初めて新しいものを生み出せるのだということを感じた。
幾分、逆説的にはなるが、私たちは毎年同じような業務を繰り返しつつも、その繰り返しを丁寧に行うことで、そこに新たな風を吹き込むことができるのではないか、とすれば同感である。
今はときめく直木賞を取ったコメディアンの作家も似たようなことを言っていたことを思い出す。”アイディアはひねり出すものではないと思うのです、あなたや私達のすぐ近くにあって寄り添っているものだと思うのです。大切なことはそれに気が付くことだと。”
新年が始動したばかりであるが、今年も多くのいわゆるルーティンワークが待ち構えている。しかし、これを大切にし、しっかりと向き合ったときに、新しい何かに出会える、そのようなことを考えさせられた。
手術後の医師白鳥となる夜の丘
金子兜太
初日さす見慣れし山の瀟洒とも
Crann Clog