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「彼岸との交感 ― 生の淵にて」
この夏、私は「死」という輪郭なき存在と、いく度も静かにすれ違った。それは喪失でも絶望でもない。むしろ、時空の裂け目から滲み出る、生の根底にある「異質な気配」との邂逅であった。 恐山にて、風は語らずして語った。硫黄の匂いと、岩場に散る風車の回転音。そこには死者の沈黙があったが...
hirosquirrel
8月14日読了時間: 2分
アクラの風
以前、がん免疫療法の父と呼ばれたWilliam Coleyと野口英世との接点に関するエッセーを書いた。それからいくつもの論文や著作をみてみたけれど、結局のところ接点は見つかっていない。生成AIに聞いてみた。もし二人に何等かの接点があったら?そうしたら以下のエッセーを作ってく...
hirosquirrel
7月25日読了時間: 3分
あなたを覚えてる
『あなたを覚えている』 最初に出会ったのは、静かな場所だった。 光は柔らかく、水音のようなリンパの流れが、遠くで揺れていた。 彼は小さなT細胞。まだ誰のことも知らず、何ひとつ戦ったこともない。 胸腺という聖域で、彼は夢を見ていた。...
hirosquirrel
7月11日読了時間: 2分


Seven Steps
腫瘍免疫領域におけるCancer immunity cycleと呼ばれる考え方はとても有名になった(Chen DS, Mellman I. Oncology meets immunology: the cancer-immunity cycle. Immunity....
hirosquirrel
2024年1月18日読了時間: 2分


盛岡
久しぶりで盛岡に行く機会があった. コロナ禍で遠出ができない日々であったが,本当に久しぶりであった. 盛岡では時間を見つけては街を歩く. 盛岡での私のお気に入りの散歩道は,岩手城址近くの中津川沿いの道. いつもそうなのだが,盛岡の街を歩くと,不思議と宮沢賢治の気配を感じてし...
hirosquirrel
2022年7月1日読了時間: 2分
山に憧れる
数年前(コロナ禍前のことだ)にふとしたことから、今は亡き父の言葉を思い出した。 お前ら(私と弟)と一緒にいつか飯豊連峰に行きたいものだ、といっていたことだ。そのとき子供だった我々は気にとめることもなかった。我々が実家を離れ、そして父が病気で亡くなったあともそんなことはすっか...
hirosquirrel
2021年10月31日読了時間: 2分
サブスクに酔う
昨今サブスク(サブスクリプション:定額サービス)が流行っているとのこと。流行り物に弱い私はしばらく前から音楽サブスクにお世話になっている。まあこれだけの音楽が定額なのは素晴らしい。別に回し者でもなんでもないけれど、やっぱり素晴らしいと思う。...
hirosquirrel
2021年6月24日読了時間: 2分


3月、誕生日
ある年の冬,自分のやりたいこと,生きていく道に戸惑い,旅に出た.たどり着いた街には,その街には似つかわしくないくらい大きな二つの川が悠々と流れていた.川のみえる丘の上に座って,これまでの生きてきた道を想った.そしてこれからどうしようかと思い悩んだ.毎日丘に座り,いろいろなこ...
hirosquirrel
2021年3月11日読了時間: 2分


野口英世、新型コロナそして癌免疫療法
今朝の地方紙に「先人から学ぼう」という記事が掲載されている。 新型コロナウイルスの拡大という苦難の中、野口英世に思いを馳せ、難局を乗り切ろうという企画である。 折しも5月21日は野口の命日である。現在のガーナ、アクラで51歳の生涯を閉じたその日である。...
hirosquirrel
2020年5月20日読了時間: 3分


ふたつの世界
コロナ渦が席巻している。 日々コロナと対峙していると、ふと、自身の存在する今このときは現実世界なのだろうかと思うことがある。コロナがなかったであろう世界こそが現実ではないかと。一方でやはりコロナのある現実世界こそが現実で、なかったであろう世界が虚構であると、現実に戻されると...
hirosquirrel
2020年4月30日読了時間: 1分


マリス ヤンソンス
11月30日 ロシアの偉大な指揮者であるマリスヤンソンスが76歳で亡くなったと報じられた。 かのカラヤンにも師事し日本にも数多く訪れた。私は2001年から2004年の間米国ピッツバーグ市に住んでいたが、その時たった一度だけ彼の指揮するラフマニノフのシンフォニーを聴くことがで...
hirosquirrel
2019年12月23日読了時間: 2分


夏の終わりのOn and On
明日は秋田,大曲の花火大会が開催される.終わると東北には秋の気配がやってくる.夏が終わるのだ.今年の夏も雨,台風,そして災害に見舞われた. このところの夏は災害続きのせいか,終わると少しほっとするような気もする. とはいえ,やはり少し寂しい.授業もまだ始まっていないせい...
hirosquirrel
2019年8月30日読了時間: 1分


和光同塵
和光同塵という言葉を知ったのはかれこれ2年前になる.皆で雑談をしていたところ,我々のキャンパスが光が丘にあるし,肺の病気の源の多くは空気中の様々な塵であることなどから,我々のチームのニックネームを「光塵」としたらどうか,という話になった.そもそもそんな言葉がこの世にあるのだ...
hirosquirrel
2019年4月25日読了時間: 1分
別れの時
しばらく前に大切な人との永遠の別れを経験した. 最後に言葉を交わしたとき,一期一会の本当の意味が理解できた気がした. この一度限りでもう会うことはない,そう思ったときに感じたことは真剣に相手を思うこと, 向き合うこと,というような感情ではなく,その人のすべてを受け入れ,す...
hirosquirrel
2019年3月28日読了時間: 1分


今年もありがとうございました
あっという間に今年も大晦日,今年も一年本当にありがとうございました. 来年をどう生きるか,を考えるとき今年一年をどう振り返るか,はとても大切なことと思います.振り返りからも多々あると思うのですが,今回は今年読んだ本を振り返ることで一年をreviewしてみようと思っております...
hirosquirrel
2018年12月31日読了時間: 2分
コンピュータは ”わくわく” しない,と思う...
先日の新聞に「文系学生にも数学を」という記事が載っていた. 日本の経団連の方々の要望だそうである. うーんと思っていたのだが,東京で本屋さんをぶらついていたら,センスメイキングという本に出会った.こちらはアメリカの話であるが,テクノロジー或いはデータ至上主義の今こそ文系...
hirosquirrel
2018年12月17日読了時間: 2分
夏が終わる
今年は豪雨と台風そして昨日の地震災害とひどい夏だった. 不幸に至った皆様のご冥福を心よりお祈りすると共に,一日も早い復旧を願うばかりである. そんな今年の夏もようやく過ぎようとしている.そして夏の終わりになると思い出す出来事がある....
hirosquirrel
2018年9月7日読了時間: 2分


花火
夏は日本人にとって,終戦記念日やお盆などの行事が重なって,言ってみれば死者と寄り添う季節でもある. 以前,知り合いの米国人と花火の話になった.アメリカの花火は,アメリカらしく華々しくて派手である.ショーのひとつである. しかし日本の花火にみられる切なさや侘しさを伴う独特の風...
hirosquirrel
2018年8月10日読了時間: 1分
静かな朝
いつになく静かな朝、大雪にでもなっているのではないかと思うくらい、音のない朝。こんな日に限って夢で目覚めた。ひどく悲しい夢であった。目覚めた後、先人はなぜ自身の将来の「夢」とまどろみの中の「ゆめ」を同じ言葉にしたのだろうか、そんなことに思いを馳せた。「ゆめ」は必ずしも実現し...
hirosquirrel
2018年6月20日読了時間: 2分


ある春の日
度重なる出張で少し疲れたというか、出張そのものに飽きてきたので、気分を変えようと思い久しぶりに村上春樹を手に取り新幹線に乗り込んだ。普段はめったに中古の文庫を買うことはないのだが、珍しく書庫の奥のほうにブックオフで買ったと思われる村上の旅行記の文庫を見つけ何気なくカバンに放...
hirosquirrel
2018年4月13日読了時間: 1分
日日是好日
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