夏は日本人にとって,終戦記念日やお盆などの行事が重なって,言ってみれば死者と寄り添う季節でもある.
以前,知り合いの米国人と花火の話になった.アメリカの花火は,アメリカらしく華々しくて派手である.ショーのひとつである.
しかし日本の花火にみられる切なさや侘しさを伴う独特の風情はみられない.
日本では花火は亡き人への供養といった意味合いがある.ショーというよりは行事である(行事を英語にするとイベントであるが,それも少し違うなぁと思う).
そのあたりで,雰囲気が異なるのであろう.
そもそも,英語で花火はFireworksである.先の米国人に日本ではFireのFlowerというのです,と話をしたら, 日本語のほうが素敵だね,と褒められた.自分が褒められたわけではないが,なぜかとても誇らしく,嬉しい気分になったことをよく覚えている.遠い昔の夏の日の小さな出来事である.
稲妻の遠くに光る花火哉
子規
童心にいざなはるるや初蛍
Crann Clog