久しぶりで盛岡に行く機会があった.
コロナ禍で遠出ができない日々であったが,本当に久しぶりであった.
盛岡では時間を見つけては街を歩く.
盛岡での私のお気に入りの散歩道は,岩手城址近くの中津川沿いの道.
いつもそうなのだが,盛岡の街を歩くと,不思議と宮沢賢治の気配を感じてしまう.
もちろん私の勝手な思い入れのせいではあるが.
時間が取れれば記念館に足を運ぶのだが,今回はスケジュールの関係で叶わなかった.
それでも街の本屋さんをめぐると,思いがけない本に出会った.岩手日報社出版,澤口たまみ氏の「クラムボンはかぷかぷわらったよ」という本である.
宮沢賢治の物語を著者のコメント(これがとても秀逸)付きで読める.
このところ,本はネットで買うことが増え,それどころか紙ではなく,電子書籍で買うことが多くなっていたが,実際に本屋に行くことでこのような出会いがある.
調子に乗って,岩手のクラフトビールの代表格であるベアレンビールを買い込んで,本当にわくわくして帰りの新幹線に乗り込んだ.本を買ってこんな気持ちになったのは久しぶりの感覚だった.
新花巻駅を過ぎるころにはすでにビールは半分はなくなっていた.
ベアレンビールの効用だったのかもしれないが,いつの間にか心地よい午睡に落ちていた.
眠りの中で,晴天の空の向こうのイギリス海岸の川べりを歩く賢治を見たような気がした.
童心にいざなはるるや初蛍
Crann Clog
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