弓道の言葉に彀(やごろ)という言葉がある。この言葉を冠した部誌を弓道部の学生は苦労して毎年作っている。年始めにいつも寄稿を依頼されるため、年末の仕事のひとつとしてこの部誌への寄稿文を書くことが恒例となった。
以下、今年の寄稿から少し引用してみたい。
タイトルは ”Exposome” である。
最新の免疫学の知見でExposome:エキスポゾームという言葉がある(引用:Nikolich-Žugich J. The twilight of immunity: emerging concepts in aging of the immune system. Nat Immunol. 2018 Jan;19(1):10-19. )。この用語はExposure:暴露、を語源としている。免疫系はそのライフスパンにおいて様々な外的因子と出会う(暴露する)ことで成熟し、様々な外的要因に対応する術を獲得するという。その最たるものは腸内細菌であったりする。これら様々な外的要因を総じてExposomeと呼んでいるが、この概念は我々の生きるこの社会に置き換えても違和感がない。様々な人々や新たな環境と出会う、そして多くの先人を想うことで知らず知らずのうちに成長する。人生においてもExposomeは重要で、生涯このExposureは続く。楽しいExposomeもあれば辛いExposomeもあってそれは様々だ。そしてこれらのものによって我々は疲弊もし成長もする。 自分の努力と成果を自負することはたやすい、しかし自身の成し遂げたものには必ず、先人の力と仲間達の関わりがある。このことを理解することは人をもう一段の高みへと誘うに違いない、と思う。
(以下、イラスト引用元http://biomedicalcomputationreview.org/content/taking-exposome)